2017年4月3日月曜日

教会ステンドグラス修復作業(4)最終回

組み立て作業
いよいよ組み立て。
円形のパネルは四角のパネルと違って、組み立て方に工夫が必要で、特に今回は正確な図面がないため、だんだん図面とズレてくるのが必然なため、調整がとても苦労しました。
カトリック観音寺教会ステンドグラス修復
はんだ施工

組み立て後、はんだ施工。
今回は鉛線と鉛線の交差接地部分だけにはんだをするのではなく、鉛線全体をはんだする「全面はんだ施工」で組み立てました。これによりパネルの強度が増します。
表面が終わったら裏面もはんだ施工。
カトリック観音寺教会ステンドグラス修復
はんだ施工後、はんだをした時の薬剤などの汚れを落とすため一度洗浄。
その後、パテ詰めし、はんだ表面処理
両面をはんだ施工し、パテ詰めするのにとても苦労しました。
何せ2mのパネルは一人では持ち上がらないし、どうひっくり返せばいいか夜も寝ながら考えてました。
このパネルを作った作者はいったいどうやったのか・・・

結局、表面をパテ詰めし、そのまま洗浄作業。

助っ人を頼み3人でパネルを反転。
(この方法が一番悩んだところ)

裏面をパテ詰め、洗浄・はんだ表面処理。
その後数日放置し、パテが硬化してきたところで、仕上げの磨き作業。

もう一度、表面に反転。
はんだ表面処理をして、磨き作業。
これにて表裏の作業を完了。
※写真の中のクッションは、渡し板に寝そべりながら唸って仕事をしていたら、心配してくれ方から貸していただきました。肋骨と背筋が痛くてつらかったのですが、クッションのお陰でかなり助かりました(^^;)
カトリック観音寺教会ステンドグラス修復
最後に、補強材をパネルに取り付けて完成。
ここまで3週間。




出張初日からここまで、ほぼ2カ月間
これでもかと補強できるところはしっかりと。
自分の代では補修しない覚悟で(お世話になった先輩作家さんの言葉を拝借)。
カトリック観音寺教会ステンドグラス修復
修復後、取り付けが完了。
補強材もほとんど目立ちません。
ガラスも洗浄されて発色が良いです。
カトリック観音寺教会ステンドグラス修復
修復後きれいに収められたステンドグラス
今回は教会の改修工事に伴う緊急の修復でした。教会の改修工事は始まっていたのですが、
内部工事に伴い、変形したステンドグラスが倒壊する恐れがあったため、修復することになりました。
今回掲載した作業工程のほかにもいろいろあるのですが、地味過ぎて載せませんでした。。
2か月間という限られた期間での仕事でしたが、とても良い経験となりました。
ステンドグラス修復をしてから2か月後、工期が遅れたらしく、建物を含め、はれて完成したと連絡があった時はホッと一息。
工期中、いろいろと耳にした中で、地元に住む青年の通学路で、あるとき地元に戻ってきたときこう言ったそうです。「この教会の塔のてっぺんのイエス像が毎日の風景だった」と。
人々の忙しい生活のなかでホッと一息静かな時間を過ごせる場所である教会の聖堂。
まさに市中の山居である。この静かに祈り黙想できる場所を整える仕事にかかわれてよかったです。

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